クライアント宛のメールでも、チラシの原稿でも、とかくビジネスにおける文章には読みやすさ·伝わりやすさが求められるものです。
同時に誤解なく理解されることも重要ですから、丁寧に説明していくと文章量は増えます。
けれど、読むのに時間がかかりそうなものは敬遠されがち。
誤解を防ぐための「詳しさ」は、「読みやすさ·伝わりやすさ」とイコールではないのです。

同じ意味の文章が続くところは削りどころ

理解を深めるために、たとえ話や違う言い方で、同じ内容を繰り返してしませんか?
たとえば次の文章は、冒頭の文章の一部のボツ案です。

しかし、同時に誤解なく理解されることも重要ですから、説明に文字数を費やすことで文章量は増えがちです。
誤解を防ぐための丁寧な説明を重ねることで文章量は多くなり、多くなればなるほど難解そうに見えてしまう
「詳しさ」と「やさしさ」はトレードオフの関係にあるのです。(129文字)

実際に使用した文章を比べてみます。

同時に誤解なく理解されることも重要ですから、丁寧に説明していくと文章量は増えます。
けれど、読むのに時間がかかりそうなものは敬遠されがち。
誤解を防ぐための「詳しさ」は、「読みやすさ·伝わりやすさ」とイコールではないのです。(110文字)

ボツ案では、「誤解を招かないためにしっかり説明すると、その分文字が増える」という意味合いの文が2回出てきます(1文目と、2文目の前半)。
文字数が多い上に、何度も同じことを繰り返すためにしつこく感じますね。
採用した案では、それを削除した上で文のつながりを調整し、より易しい言い回しに変えました。(なんだか気取った言い方になっていた部分も変えましたw)

さらにわかりやすく、短くできないかと変えてみたのが次の文章ですが、人に見せたところ「削りすぎて気持ち良く読めない」と言われてしまいました。
スムーズに読み進められるリズムを保ちながら、適度に削るバランスが大事なようですね。

かといってあまりに簡潔すぎると説明不足で誤解を招きますし、説明を足していくと文章量が増えた分だけ難しそうに見えてしまう…
誤解を防ぐための「詳しさ」は、「読みやすさ」とイコールではないのです。(95文字)

1文字を争うときは、言い換えで文字数削減

より多くの情報を伝えたいけれど、文字数が限られていることもあります。
たとえば…

  • 文字数が指定されている(Web広告や記事のタイトルなど)
  • 使える面積が限られている(小さなバナーに載せる文字情報など)
  • 他の要素との調和が求められる(グラフィックと組み合わせるキャッチコピーなど)
  • このような場合、より簡潔でわかりやすい表現が求められます。

仮に、求人サイトに採用広告を出すとしましょう。
広告を出している各社が決まったテンプレートにキャッチコピーや時給、福利厚生などの情報をまとめ、それが一覧表示されるので、決まった文字数の中で最大限のアピールをしなければなりませんね。
20文字のキャッチコピーに、一番伝えたい情報を盛り込むとします。

堅苦しくない雰囲気で、楽しく働けてしっかり稼げます。週3日以上働ける方。(36文字)

何も考えずに、盛り込みたい情報を入れた文章を書いてみます。
ここから内容を変えずに20文字に削いでいくために、まずは「なくても意味がわかる文字」を削ってみましょう。

堅苦しくない雰囲気。楽しく働けてしっかり稼げる。週3日以上。(30文字)

ですます調を言い切りの形にして文字数を稼ぎます。
日数は、アルバイト募集サイトであれば勤務日数を表していることは自明なので、これも短く削りました。
次は、それぞれの単語を同じ意味合いの違う言い方に変えてみましょう。

「堅苦しくない雰囲気」

あたたかい、気楽な、のびのびとした、仲がいい、にぎやかな…などと言い換えられそうですね。
ニュアンスによって、お店の雰囲気により当てはまるものを選んでいきます。
また、「堅苦しくない雰囲気だから楽しく働ける」という意味合いであれば、「楽しく働ける」ニュアンスも含めた言い回しを選べばその分をさらに削れます。

しっかり稼げる

高収入、高時給と表現すれば、より短くできます。

ワイワイ働いて高時給。週3日以上。(17文字)

削りすぎでしょうか?
20文字を切りましたが、前回の文章に比べると職場に対するイメージが湧きづらい表現になっているようです。

次は、細かなニュアンスも見ながら文章を整えていきましょう。

細かな意味合いと文章のトーンを整える

文字数削減と伝わり方のバランスをとるために、微調整をしていきます。
文字数が余っていますし、「週3日以上。」の部分も含めて調整することで、働き方がイメージしやすい表現に変えていきましょう。
イメージが湧きづらい理由は、「ワイワイ」が雰囲気にかかっているのか、働くこと=仕事内容にかかっているのか曖昧なためでしょう。

アットホームな職場で楽しく高時給。週3日以上。(23文字)

文字数はオーバーしていますが、これくらい説明した方がよさそうですね。
お店の雰囲気が良いから働きやすそうだ、というイメージを伝えることができます。
残りの数文字分は、勤務日数の部分と記号を上手く使いながら調整します。

アットホームな職場で楽しく高時給!週3~(20文字)

週3~★アットホームな職場で楽しく高時給(20文字)

週3~×高時給★アットホームなお店です♪(20文字)

【週3~×高時給】アットホームなお店★(19文字)

こういったキャッチコピーの場合は、句読点の入り方でかなり雰囲気が変わります。
句読点をしっかり使っていると大人びたまじめな印象に、文例の2つ目以降のように記号が入ってくると若者·学生向けな印象に見えてきます。
限られた文字数をあえて記号や顔文字に使って応募へのハードルを下げたり、しっかり句読点を使って真面目そうな文章にするなど、読んで欲しい人のイメージに合わせた演出も重要です。

まとめ

わかりやすい文章に仕上げるためには、文字量を削りながらも必要な説明をキープする、バランスが重要です。
まずは思うままにざっと文章を書いてみて、意味が重複する箇所がないか、もっと短い言い回しができないか見直すことが、より伝わりやすい文章に仕上げていくためには不可欠です。

簡潔とは、「簡単で、要領を得ていて、無駄がない」こと。
人に見せる文章は、常に簡潔であることを心がけたいものですね。

(3h)